蛙の子は蛙

私の父は、口数が少ない人でした。

仕事は自動車の塗装工でした。

車の免許がなかったので、毎日片道4キロ自転車で通勤してました。

朝早くから、夜遅くまでグチひとつ言わずに働きました。

休みの日、特に子供と遊ぶわけでもなく、家族で出かけたり何かすることも特にありませんでした。

毎日、仕事に行き、妻に言われる簡単なお手伝いを黙ってやる。

私の成長にも特に意見することはありませんでした。

私は、そんな父のことを、尊敬も軽蔑もなく、ただ父と認識する程度でした。

 

私の母は、毎朝父のお弁当を作り、家事に子育てに、時にはパートに出て、家計を支えながら頑張っていました。

あまりオシャレもせず、社交的でもありませんでした。

私が小さい頃、お手伝いがしたくてキッチンに行くと、邪魔やからあっち行って!とよく怒られました。

私と兄が、いうことを聞かないと癇癪を起こしたように怒鳴られました。手を挙げることもありました。

高校進学の時、家計は苦しそうだったが、今は高校ぐらいは行かなあかんやろ。と、頑張ってくれました。

私は、そんな母のことが怖かったです。

嫌われたくなかったです。

育ててくれたこと感謝しています。

でも、母と同じ人生は送りたくないと思いました。

お金と時間に追われて、ただ毎日毎日生きるための生活を送っているように見えた。

 

私は、母のようにはなりたくない。と思ってました。

好きな服を着て、好きなことをして、恋をして、結婚して、家族が増えて、、、

子供達にいっぱいいろんなこと教えてあげたい。って思った時、教えてあげられることが見当たらなかった。

夫の収入は、父の収入より多かったのですが、気がつけば、お金と時間に追われている私でした。

我慢することしか思い付けなくて、おしゃれにかかる費用もなくして、出かけることも少なくなりました。ユーホーキャッチャーや、ビデオ、DVDレンタル。カードゲームやポケットゲーム等、子供達にも随分と我慢させました。

なのに、夫は自分の時間、お金を自分のために何の躊躇いもなく使っていた。

 

私の学歴は、高卒。大卒の夫は高卒の部下を罵倒する。なので子供達は大学に進学できるならしてほしいと強く思いました。

夫は子供達の成長や進学にあまり興味がないみたいで、そんな父親に、子供達もあまり話をしなくなってました。

お金と時間に追われて、生活に余裕がなくなって、でも毎日時間だけが過ぎていく。何とかしたくても、考える知恵余裕無くなってしまった。